黄斑変性の症状はどういうものですか
黄斑変性になると視野の中心が歪んだり、見たい中心部分が暗点になったり、文字がぼやけて不鮮明に見えることで日常生活に不便な思いを生じます。
黄斑変性はどんな検査でわかりますか。
OCT(光干渉断層計)が最も安易で簡便に検出可能です。
日比谷線広尾駅徒歩3分 03-6432-5977
ものを見る時に最も大切な役割を担う「黄斑」に障害が起きることを黄斑変性と言います。網膜の奥にある脈絡膜に異常な血管(新生血管)がつくられることで起こります。
黄斑変性になると視野の中心が歪んだり、見たい中心部分が暗点になったり、文字がぼやけて不鮮明に見えることで日常生活に不便な思いを生じます。
黄斑変性はどんな検査でわかりますか。
OCT(光干渉断層計)が最も安易で簡便に検出可能です。
加齢黄斑変性という名前が付いていることからも推測できるように発症には加齢が深く関与しております。それ以外には喫煙や肥満、高血圧、高コレステロール血症の方は発症リスクが高くなります。
黄斑の奥の脈絡膜に血管新生が生じることを黄斑変性と呼ぶのに対し、黄斑の前方に硝子体が癒着して牽引している黄斑前膜という病気などもあります。
黄斑変性は慢性疾患であり完全な根治は難しいですが、定期的に検診していくことが大事です。
黄斑変性の治療の基本戦略は抗VEGF硝子体注射になります。注射治療のメリットは非侵襲的に新生血管を退縮させることが可能ですが、デメリットとしては1回の注射だけで治療することは難しく、網膜内で薬剤の濃度が低下したら再度の繰り返し投与が必要となる点です。黄斑変性に伴った出血で見え方に影響する場合は手術で眼底を綺麗にします。
外出時に直接的に紫外線を曝露しないように注意し、栄養バランスのとれた食事をとることも大切です。抗酸化成分が多く含まれる魚や緑黄色野菜を中心にした食事を心がけると良いです。また進行予防の手段として補助的にサプリメントを服用することもあります。それでも発症して進行する黄斑変性には注射治療を用いて病状の進行を食い止めます。
黄斑変性は視野の中心部に異常を自覚するため日常生活に支障をきたします。例えば細かい作業や運転などに影響が出て十分なパフォーマンスが発揮できない可能性があるため、注意が必要です。
黄斑変性に対して注射治療を繰り返すうちに、治療が難しくなって通院を中断するケースがあります。診察を受けないまま放置してしまうと網膜のダメージが蓄積して見え方は悪化します。黄斑変性の治療を離脱しないために、通院できる環境を整え、信頼できる主治医の先生を見つけて、継続できる治療計画を相談していくことが大事です。
年を重ねると誰にでも発症するリスクがありますが、喫煙は発症リスクを高めますのでできるだけ早く禁煙することが大切になります。また強度近視の方は網膜が薄くなって眼内新生血管ができやすい体質のため注意が必要です。
当院では黄斑変性が見つかった場合は頻回の検査で網膜の断層像の時系列変化を確認し病状の詳細な状況を見極めていきます。その情報を元に注射治療を行う際の適切な投与間隔を計ります。その際にどの薬剤が最も効くか、全身状態や付き添いの家族は来られるか、患者さんの目標ゴールがどこにあるか等を細かく考慮してオーダーメイドで治療プランを提供していきます。
積極的な治療を希望される方には徹底的に酸化ストレスを抑える治療プラン(一部自費も組み合わせ)の用意があります。治療がずっと続くことに対して不安の強い方にはなるべく投与感覚を延ばしたり、通院間隔の負担を軽減したりすることも可能です。悩みを共有して一緒に解決策を探していけたら幸いです。
眼内血管新生は重篤な症状を引き起こすため、さまざまな眼内血管新生病変の研究や治療開発が進んできました。私自身も大学で基礎研究をしていた際のテーマが新生血管で、悪い新生血管が作られる際の時系列変化を細かく研究してきました。また大学に在籍していた時は特殊外来(網膜硝子体外来)を開き、全国からの黄斑変性で苦しむ患者さんの相談に乗ってきました。これまでのすべての経験が患者さんの福音になれたら幸いです。